バイクは車輪が二つしかないため、軽快に走ることができる反面、バランスを崩して転倒してしまうリスクも高い乗り物です。
バイクに乗る人であれば、どんなに運転がうまい人でも、何らかの形でバイクを倒してしまったという経験はあるのではないでしょうか。
ライダーの誰もが経験したことがあるであろうバイクの転倒ですが、転倒した後に気になるのがバイクの破損や故障です。
目立つ傷ができてしまっても走行に問題はない場合もあれば、見た目に大きな変化がなくても機能的に問題が生じうる場合もありますし、どんな転び方をしたのかによってもダメージの程度が異なってきます。
そこでこの記事では、転倒の種類について軽く説明した後、転倒後のバイクのチェックすべき点などについてまとめてみたいと思います。
目次
転倒の種類
バイクの転倒といっても、いくつかの種類があります。転倒時の状況や転倒の仕方などによってバイクへのダメージは異なってきます。
どのように転倒したのかに注意しながら、後で紹介するチェック項目の重視すべき点を意識してみてください。
停止中の転倒
バイクを停止中あるいはスピードがほとんどゼロの状態でバイクを倒してしまう場合です。いわゆる「立ちゴケ」といわれるものです。
例えば、信号待ちしている時に何らかの理由でバイクを支えきれなくなったとか、バイクにまたがろうとして失敗してバランスを崩したなどで、バイクを倒してしまう場合です。
このような場合は、バイクにそれほど大きな衝撃は加わっていないことが多いため、カウルなど外装部品をはじめ、ミラーやステップ、ウインカーやヘッドライトなどのランプ類等を中心にチェックを行えばよいでしょう。
走行中の転倒
走行中に急ブレーキをしたことで前輪がロックしてバランスを失って転倒(握りゴケ)したり、カーブを曲がっているときにタイヤが滑って転倒したりと、走行中に転倒するパターンはいくつかあります。
走行中の転倒は、スピードが出ている分、多かれ少なかれ道路上を滑走するため、停止中の転倒よりもバイクへのダメージは大きくなりがちです。
また、転倒時のスピードや縁石などへの衝突の有無によってもバイクへのダメージは変わってきます。
衝突した部分や転倒時の状況を考えてチェックしていきましょう。
転倒後にチェックすべき点
当然のことですが、バイクで転倒してしまった場合、バイクのことよりもまずは自分や他人にケガなどがないか確認し、もしあればその処置をすることを最優先にしましょう。
また、交通事故を起こした場合は、単独事故(自損事故)であっても警察へ届ける義務がありますので必ず届けるようにしましょう。
以上を前提に、話をすすめます。
バイクで転倒後に主にチェックすべき所は以下です。
- ハンドルまわり
- ブレーキ関係
- ランプ類
- 足まわり
- カウル類
- フレーム
- エンジン
これらについて少し詳しく見ていきましょう。
ハンドルまわり
バイクを転倒させてしまった時にダメージを受けやすいのはハンドル周りのパーツです。
ステアリング(ハンドル)
ステアリング(ハンドル)全体がタイヤの方向とズレが生じていないかの確認は必要です。
ズレた状態で運転すると真っすぐ走るのが困難になり、非常に危険です。
ミラー
ミラーは転倒時にズレたり割れたりしやすいので、しっかり確認します。
割れた場合は即交換が必要です。
アクセル・バーエンド(ハンドルバーウエイト)
アクセルがきちんと可動するか、何かに引っかかるようなところはないかチェックします。
ハンドルの左右先端にバーエンド(ハンドルバーウエイト)がついている車種の場合は、それらが外れていないか、傷がついていないか、ズレてアクセルに干渉にしていないか等をチェックします。
ブレーキ関係
ブレーキ関係の部品も要チェックです。
ブレーキレバー
ハンドルについているブレーキレバーは曲がったり、折れたりしやすい部品です。
折れてしまった場合はもちろんですが、少しでも曲がってしまった場合は、交換した方がいいでしょう。
ブレーキレバーは、アルミ製のものがほとんどですが、一度曲がったものを元通りに修正したりすると強度が落ちて折れやすくなるので危険です。
ブレーキペダル
右側に転倒してしまった場合、ブレーキペダルがダメージを受けることがよくあります。
曲がってしまうと、ブレーキ操作に支障をきたして危険です。違和感を感じたら、バイク屋さんに相談しましょう。
ブレーキローター(ブレーキディスク)
前後ともドラムブレーキであれば別ですが、ディスクブレーキのバイクは、転倒によってブレーキローター(ブレーキディスク)が歪んでしまうことがあります。
油圧式のディスクブレーキは遊びを調整できませんので、ブレーキローターが許容範囲を超えて歪んでしまった場合は、走らせるとブレーキとパッドが接触した状態で、ブレーキを引きずって走ることになります。このような状態になると、修理・交換が必要になります。
センタースタンドでバイクを立てるなどしてタイヤを回してみてチェックしましょう。
ランプ類
プラスチック部品が多いランプ類は破損しやすいので要チェックです。
ウインカー
ウインカーは前後左右確認しましょう。レンズの割れだけでなく、きちんと点灯するかどうかの確認も忘れずに行いましょう。
ヘッドライト
ヘッドライトの割れがないかはもちろんのこと、点灯するかどうかは要チェックです。
また、上下左右、おかしな方向に光軸がずれていないかの確認もしましょう。精密に測るにはテスターが必要ですが、平面で正面を壁にしてバイクを停め、ヘッドライトの高さのところに壁に印をつけるなどしてある程度は計測することはできます。
足まわり周辺
こちらもしっかりと確認しましょう。
ホイール・フロントフォーク・フレーム
転倒時にバイクが縁石などに衝突したなど衝撃が加わった場合は特に注意が必要です。
バイクを立てて、歪みなどがないかチェックしましょう。
ホイールやフロントフォーク、フレームなどが歪んでしまった場合は、技術のある人でない限りバイク屋さんで修理してもらうしかありません。
ステップ
走行中足を乗せるステップも転倒で曲がりやすいパーツです。
ゴムの傷や、足を乗せてみて違和感がないか確認しましょう。曲がった場合、自分で直せることもありますが、自信がなければバイク屋さんにお願いしましょう。
マフラー
マフラーは転倒で擦りやすいパーツです。
マフラーガードに傷がついただけであれば大きな影響はないですが、折れたり曲がったり、穴が開いたりしていないか確認しましょう。
カウル類
カウルなど樹脂製のカバーはキズがついたり、割れたりしやすいパーツです。
特に、割れて破損していないかは要チェックです。
割れて尖っている部分などができているとケガの原因ともなって危険ですので、確認しましょう。
エンジン
エンジンの外観のダメージのチェックをして大丈夫なら、きちんとかかるかのチェックです。
転倒直後はエンジンがかかりにくくなることがあります。
キャブレター車の場合は、転倒によってガソリンが本来行くべきところでないところ漏れ出すことが原因でエンジンがかからず、少し放置してからトライするとかかることがあります。
インジェクション(FI)車の場合は安全センサーが働いてエンジンがかからないことがありますので、バイクを立てて、メインスイッチを一度切ってからチャレンジしましょう。
さいごに
以上がバイクで転倒した際にチェックすべき所についてでした。
バイクを倒してしまったことで、キズがついたり破損したりで落ち込んでしまうかもしれません。
しかし、バイクはいくらでも修復する方法がありますので、転倒した経験を教訓に今後の安全運転に活かしていきましょう。