新車のバイクを手に入れた時、したほうがいいと言われるのが「慣らし運転(ならしうんてん)」です。
慣らし運転は、新車のバイクが一定の距離を走るまでは無茶な運転はせずに、ソロリソロリと走って丁寧に運転することです。
また慣らし運転と似て非なるものに「暖機運転(だんきうんてん)」というものもあります。
こちらは冷えているエンジンを温めるという意味がありますが、これも行った方がいいと言われることが多いものです。
これらはそもそもやる必要があるのか、やるとすればどのようにすべきかなど、主に排気量125cc以下のバイクを中心にして考えていきたいと思います。
慣らし運転について
特に日本のバイクメーカーは、日々改良を重ね、よりよい品質や性能の実現のために技術を磨いてきています。
ですから、新車で販売されているバイクは高い精度で組み立てられているといえます。
もっとも、新品の部品ばかりで組み立てられているため、それぞれの部品が機械全体の中の一部の部品としてなじむ、あるいはアタリが付くまでに多少慣らす必要があると考えられています。
このような意味で行われるのが慣らし運転です。
慣らし運転の方法
新車バイクの慣らし運転は不要との意見も一部ではあるようですが、実際のところはどうなのでしょうか。
各バイクメーカーではどのように考えているの調べてみました。
一例ですが、こちらで確認したものは以下のようになっています。
ホンダ・スーパーカブ110
走行距離500kmまでは、急発進、急加速、急ブレーキ、急なシフトダウンを避けること
スズキのアドレスV125
走行距離1000kmまではアクセルは2分の1以下までしか開けないこと
ヤマハ・アクシストリート
最初の1か月または走行距離1000kmまでは不要な空ぶかし、急加速、急発進をしないこと
カワサキ・Z125 PRO
走行距離800kmまではエンジンの回転数を4000rpmまで、走行距離800~1600kmまでは6000rpmまでにすること
結論
各車種ごとに表現の違いはありますが、内容的に大きな差はないと考えられます。
おおむね走行距離が1000kmになるまではエンジンを全開にしたり、急操作をすることなく丁寧に扱うことが求められているといえます。
バイクメーカー各社がそのような見解を示しているのですから、素直に従うほうが無難ですね。
ということで、慣らし運転はなるべく行うようにしましょう。
暖機運転について
暖機運転の必要性についても色々な見解があります。必要とする考え方・不要とする考え方があります。
実は新車を購入した際にもらえる取扱説明書に、暖機運転についての記載がないことがあります。
ですから、メーカーによっては、二輪車に暖機運転は必ずしも必要とは考えているところもあるかもしれません。
現在は製造されていない2スト(2ストローク、ガソリンと一緒にエンジンオイルも燃焼するタイプのエンジン)のスクーターのように、エンジンが温まっていないとアクセルを回してもろくにスピードが出ず、まともに走れないといったようなバイクだと暖機運転の必要性はありました。
しかし、現在の販売されているバイクではそういったことはあまりありませんので、暖機運転の重要性は下がってきているのかもしれません。
暖機運転の方法について
そうはいっても、やはりオイルを循環させて動く金属の機械ですから、多少暖機運転をしたほうがいいにこしたことはありません。
以下、暖機運転の方法について紹介します。走り出す前と走り出した後、両方で行うということのを意識するとよいでしょう。
走り出す前
エンジンをかけてアイドリング状態(エンジンをかけてアクセルを動かしていない状態)にしてしばらく放置します。
時間は車種や気温にもよりますが、2、3分~数分程度です。バイクのエンジンは、基本的に長時間アイドリング状態にすることは想定されていませんので、長くするのは不調の原因になります。
バイクによっては、アイドリングの回転数が下がって落ち着いてきた頃を目安にするのがいい場合もあります。
走り出した後
停止状態の暖機運転後、走り出した後も少しの間は暖機運転を意識して運転します。
特に気温が低い時など、走り始めはバイク全体の動きが渋いと感じるものです。
暖機運転は、主にエンジンオイルの循環と温度を上げることを目的に行うものですが、厳密にはバイクの可動部分すべての暖機を行っているという意識で、急な操作は控えて、すべての操作をゆっくりと丁寧に行うことを心がけます。
バイク全体がなめらかな動きになってきたと感じたら、徐々に普段の運転にして切り替えていきましょう。
さいごに
以上、125cc以下のバイクを中心とした慣らし運転と暖機運転についてでした。
金属製の機械ですから、排気量にかかわらず、多少は慣らし運転と暖機運転は意識した方がよいと思います。
愛車をいたわる気持ちで大切に運転していきましょう。