塗装された面についた傷には消せる傷と消せない傷があります。
消せる傷は、コンパウンド等で磨く(研磨する)ことによって表面をなめらかにして傷を消すことができます。
しかし、塗装面の下地部分にまで達してしまった傷は、カラーリングの部分が傷んでしまっているので、いくら研磨しても消すことはできません。
こういった傷をなくすには、再塗装するか、塗料を上塗りして目立たなくする必要があります。
小さな傷であれば、タッチアップペンという小さな傷部分などに塗るための塗料を使えば、お手軽に傷を目立たなくすることができます。
今回は、そのタッチアップペンを使って塗装面等についた傷を目立たなくする方法について紹介します。
コンパウンドだけを使って傷を消す方法については、以下の記事に書いていますので、よろしければそちらも参考にしてくださいね。
傷を補修する方法
スーパーカブ110のフロント部分の泥除け先端部についた傷を修正していきます。
この傷は下地部分にまで達して塗装が剥がれてしまっているので、研磨だけで傷をなくすことは不可能です。
用意する物
今回は、あまり時間とお金をかけずお手軽に傷を目立たなくするというコンセプトで行いましたので、あり合わせのもので行いました。
用意したものは以下のものです。
- タッチアップペン(ブラックメタリック)
- 耐水ペーパー(800、1000、1200、1500、2000番)
- コンパウンド(粗目、細目、極細目)
- アーマオール(ツヤ出し保護剤)
このバイクのカラーリングは、パールプロキオンブラックという色ですが、自動車の塗料のように、同じ色のタッチアップペンは販売されていませんでした。
「黒なら自宅にあったはず」ということで探してみたら、「ブラックメタリック」がありました。同じブラックなので「まあいいか」ということでこれを使うことにしました。
しかし、よりきれいに仕上げるにはなるべく近い色を探す努力をしたほうがよいです(笑)。今回の場合は、パールかマイカのブラックのほうがよかったと思います。
作業工程
作業としては傷部分にいきなりタッチアップペンを塗って終わりではなく、下準備と仕上げ処理をすればよりきれいに、丈夫に仕上げることができますので、
- 下準備
- タッチアップペン塗布
- 仕上げ処理
の工程で行うことにしました。
では順番に説明していきます。
下準備
まずはパーツについた傷周辺の汚れを洗い流します。
水気をとった後、コンパウンドで消せるキズを消します。
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コンパウンドで磨いても消せないキズ、つまりタッチアップペンで塗るべき傷をはっきりさせます。
タッチアップを塗るべき傷を確認したら、表面の凹凸をなくすため、800番の耐水ペーパーで傷周辺を軽く磨きます。
へこんでいる部分は耐水ペーパーを二つに折り曲げて磨きます。
磨き終えたら、水気をふき取ります。
タッチアップペン塗布
次からは本番のタッチアップペンを使って塗っていきます。今回使ったカラーは、トヨタの「ブラックメタリック」(T-23 トヨタ用205)です。
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タッチアップペンをよく振り、塗料がつきすぎないようにハケを調整しながら、傷部分に塗っていきます。本当はキズでへこんだ部分を塗料で埋めるためにマスキングテープをしてピンポイントで塗っていくことが望ましいですが、今回は省略しました(笑)。
塗料は乾燥すると痩せますので、へこんだ部分が埋まったと思っても乾燥すればまた凹んでいるということがあります。ですので、乾燥と塗布を何度か繰り返して塗り重ねます。一度に厚塗りするとタレる原因になります。
乾燥させた後は表面を平らにするために研磨するのですが、塗料が完全に乾かせる必要があります。完全に乾燥するまでには1週間程度かかると言われています。ですから、傷が埋まる程度に塗れたら、数日間放置します。
へこんでいる部分はまだ完全に埋まっていませんが妥協しました(笑)。
仕上げ処理
数日間放置して塗料が乾燥したら、最後の工程である仕上げ処理に入ります。塗った部分のみを研磨するために周辺をマスキングテープでマスクします。
まずは800~1000番程度の耐水ペーパーで磨きます。
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磨きながら表面の凹凸をなくしていきます。塗装面を全部剥がしてしまわないように磨きすぎには注意しましょう。
タッチアップを塗った部分と周りの高さが同じくらいになったらマスキングテープをはがし、周辺となじむように、1200、1500、2000番の順に耐水ペーパーで磨いていきます。この工程も磨きすぎは禁物です。
2000番の耐水ペーパーまで磨いたら、次は粗目、細目、極細目の順にコンパウンドで磨いていきます。
極細目のコンパウンドまで磨いた時点で結構ツヤが出てきています。パッと見には傷が目立たなくなりました。
仕上げにARMORALL(アーマオール) という保護ツヤ出し剤をウエス等に少量吹き付けて塗りました。
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原付二種を示す白ステッカーの黒い淵の剥げていた部分を油性のマジックで塗って完成です(笑)。
今回は、タッチアップペンの色が一致していなかったこと、へこんでいる部分を完全に塗料で埋まるまで塗らなかったこと、がありますので仕上がりは完ぺきではありません。
しかし、あまり時間とお金をかけずお手軽に傷を目立たなくするという意味では、一応目的は達成できたと思っています(笑)
よりきれいに仕上げるためには、タッチアップペンをできるだけ近い色の物を使うことと、へこんでいる部分を根気よく塗り重ねて平らにすることが必要ですね。
より完ぺきな仕上がりを目指す方には以下の動画が参考になると思います。
塗料メーカーさんだけに仕上がりはさすがです。
さいごに
スーパーカブのフロントの泥除け部分の傷を例にして、タッチアップペンで傷を目立たなくする作業についての説明でした。
思いのほかきれいにできた!ということもあれば、逆にうまくいかず前よりひどくなった!ということもあるかもしれません。
今回はパーツの一部分を塗ってきれいにするという方法でしたが、パーツがそれほど大きくなければ一部分ではなくパーツ全体を塗ってしまったほうがきれいに仕上がることもあります。
そんな場合は以下の記事が参考になるかもしれません。全体を塗装される場合は参考にしてみてください。
一部分を塗装して境目を目立たなくし、全体的に違和感をなくすということは簡単ではないかもしれませんが、試行錯誤しながら作業をすることで、徐々に満足できる仕上がりになっていくと思います。
傷を補修したことも自分の愛車の歴史の1ページです。機会があればチャレンジしてみてください。