トネ・コーケンさんのスーパーカブ小説と漫画の1巻について、前回の記事で紹介しました。
今回は小説の続編である第2巻『スーパーカブ2』(角川スニーカー文庫)も読みましたので、その感想や考えたことなどについて書きます。
第1巻に引き続き、主人公である高校生とその友人が所有するスーパーカブを中心としたストーリーが続きます。季節は冬です。
著者の方は、スーパーカブを冬の季節も乗りこなしてこられたというだけあって、寒さ対策や冬の運転についての描写も非常にリアルです。
内容は盛りだくさんですが、作品をきっかけとして個人的に印象に残ったテーマを取り上げたいと思います。それは以下の3つです。
- カブ好きのタイプ
- 経済的に仕事をこなすこと
- 人の輪が広がること
- ウインドシールドについて
これらについての雑感を書きます。
カブ好きのタイプ
1巻の最後のほうで少し触れられていましたが、主人公の小熊と友人の礼子では、バイクに対する捉え方が違うということです。
スーパーカブが好きといっても愛し方は人それぞれで、実用的な便利な道具として好きというタイプと、趣味性のある乗り物として好きというタイプに分けられると思います。どちらかというと小熊は前者、礼子は後者の傾向があるようです。ちなみにブログ管理人の私は前者に入ると思います(笑)。
これらのタイプはどちらが良いとか悪いとかの問題ではなく、どのようなスタンスでバイクを所有しているか、乗っているかの問題です。
また、これら二つの要素が入り混じっている人もおられることでしょう。例えば、実用車として使っているものの、ちょっとオシャレなパーツを取り付けて楽しみながら乗っているとか、趣味のバイクとして買ったものの、バイク便などの仕事で使っているなど、はっきりと区別しにくいこともあるでしょう。
さらに、仕事と趣味のバイクを使い分けて複数台所有している方もおられるかもしれません。
スーパーカブ発売当時の最初の広告が蕎麦屋の出前をモデルにしていたように、仕事で使える実用的なバイクという性格も強かったはずです。
もっとも、ファッション性や趣味性など一切考えずに、ほぼ実用性のみを追求してひたすらバリバリ仕事をしているバイクが、いつしかそれがカッコよく思える憧れのバイクになって、趣味の対象となることがあるのだと思います。
その一例が郵政カブではないでしょうか。私も郵政カブのリヤボックスには憧れがあります(笑)。
少し話を広げると、それと似たような位置づけになっているのが最近発表されたC125ではないでしょうか。C125は仕事車としてというよりも趣味性の高いバイクなんだと思います。
私もお金と置き場所に余裕があれば、趣味のバイクとしてC125は欲しい気持ちがあります。
少しとりとめのない話になりましたが、カブ好きには大きく二つのタイプがあって、人によっては両方がミックスされていることもあり、また両方を使い分けていることもあるというそんなこともあるのではないかと思った次第です。
経済的に仕事をこなすこと
カブを仕事で使うというと、思い浮かぶのはやはり配達など荷物を運ぶというシーンではないでしょうか。ツーリングやレジャーで使うというのもいいですが、働くバイクというのも魅力的です。
そんなしっかりと仕事をこなすという場面が2巻ではありました。
文化祭で模擬店を出店する際に必要な機材を他校から借りるため、担任教師が車を出して取りに行く段取りだったのが手違いで車を出すことができなくなりました。時間は迫っており、他に車のあてはなく、有効な手立てはありません。
そこで出動したのがスーパーカブとハンターカブです。スーパーカブには出前機、ハンターカブにはリアカーを取り付けて運ぶことになります。
荷物を運ぶ必要があり、時間が迫るなかで緊急事態が発生し、困難な状況で出動するというのは、トラック野郎さながらの展開ですね(笑)。
ちなみに、出前機はもちろん、リアカーを取り付けてけん引することも基準を満たせば法律的にはOKのようです。
ストーリーでは結局無事に荷物を運ぶことができましたが、主人公は経費申請を求められたのでガソリン代を計算してみると約百円とわかります(笑)。燃費はだいたいリッター50~60キロ台なので、現実的な数字です。カブに乗っていて純粋にガソリン代だけを計算してみると、驚くくらい安くついていることに気づくことがあります。
荷物を運ぶという人の役に立つ仕事を安く経済的に実現できることが、うまく描かれていたと思います。
何か用事があって、きちんと運んで仕事をこなせた時の充実感もバイク乗りの醍醐味です。
人間関係
主人公は、同級生からもらったカーディガンをバイク乗車時の寒さ対策のため活用するため、仕立て直しをしようとしていました。しかしそれができる人が周りにいなくて困っていたところ、手芸部の教師に相談してみました。
素材がいいので捨てるにはもったいないとのことで、引き受けてくれ、依頼した以上の仕事をしてくれました。
バイクで困ったことがあった時も同じようなことがあります。手間のかかる乗物に乗り続けるためには、お金と技術、コネクションが必要であると紹介されていますが、その通りだと思います。
例えばバイクが故障して自分で直そうとしてもどうしようもなくなった時に、近所のバイク屋さんに助けてもらったとか、必要なパーツが手に入らなくて困っている時に、ダメもとで聞いてみたら分けてもらえることになったとか、色々な関係性が生まれて助けてもらえたということがあります。
トラブルがないときは何気なく乗っていても、困ったことが起きて誰かに助けてもらったという経験をしたあとは、本当に色々な人に支えられてバイクに乗れているのだなということを感じたりします。
さらに、必要があって行ったお店にたまたま居合わせた他の客とカブの話で意気投合したとか、駐輪場にバイクを停めていたら他のカブ乗りの人が声をかけてきて話し込んだとか、カブがきっかけで人間関係が広がるということもあります。
バイクがあるからこそできる人との出会いというのも、バイクに乗っている魅力の一つです。
ウインドシールドについて
2巻は季節が冬ということで、寒さ対策グッズがいくつか出てきます。その一つがウインドシールド(風防)です。
小熊と礼子はカッコ悪いとか、お金がないとかで取り付けを渋っていたものの、ウインドシールド付きのカブに試乗したことでその威力を知って迷わず取り付けることに決めました。
二人は極上品の中古を店まで行って取り付けます。ちなみにカブのウインドシールドは人気があるので、中古でも結構な値段がします(といっても数千円ですが)。
私がカブにウインドシールドを取り付けたのは最初に乗ったカブ、C70です。主人公たちと同じように私も最初は風防についてカッコいいものではないと思っていたものの、いざ取り付けてみたらその効果がすごくて手放せないものとなりました。
とくに寒い季節や雨の日などは非常にありがたい存在です。取り付けている多くの人が感じていることと思います。
ちなみにC70ではありませんが、JA10とJA44にウインドシールド(風防)を取り付けた様子は過去に記事にしています。
旭風防SPC-03とSPC-19をスーパーカブ110(JA-10)に取り付けて比較
スーパーカブ110(JA44)に旭風防を取り付け|JA10との互換性は?
おわりに
小説『スーパーカブ2』(2巻)を読んでの雑感などについて書いてみました。
文字として物語を読んでみると、色々な過去の体験や思い出などがよみがえってくるものですね。